君と過ごした日々
「…ねぇ、綾?」
「んー?」
君のきれいな漆黒の目が俺を捉えていることは、凄く幸せで。
「どこ行きたい?」
「ぅー、どこにしようね?」
なのに何故か、君は俺を見ていない気がして。
「………」
「拓海…?」
俺を見上げる君の顔が鮮明に憂いを帯びていて。
「え、っと。図書室でも行かない?静かだし。」
そんな君を見れば見るほど、アイツの存在が綾にとってどれ程大きいものかを、
「…っ…!!っ図書室はやめない!?」
感じ取らされた気がして。
「……なんで?」
「え?…だって、うん。
図書室の雰囲気ってあんまり好きじゃないから。」
また、君は嘘をついた?
「そう…。じゃあしょうがないね。」
「ご、ごめんね!!」
それを信じた振りをする俺も、最低だけどさ。
「じゃあ、適当にぶらぶらしてよっか?」
「そうだねっ!!」
俺といるときは、せめて。
俺だけを見ていてほしいから。
俺のわがまま、聞いてくれないかな?