君と過ごした日々


「名前、なんだっけ?」

「へ?」


「だから、お前の名前。」

あー…。うちの名前って、まだ覚えられてなかったんだ…。


「なんで…名前?」


「佐光に座席表書けって言われててさ。
そんで名前わかんなくて聞きに来た。」


なんだ、それだけか…。


がっかりしたのを悟られないように、気丈に振る舞った。

「戸上真弥だよ!!戸上は普通に戸の上で、真弥は真実の<真>に弥生時代の<弥>だよ。
よろしくね!!」


「おぉ、わかった。ありがとな、戸上。」

そう言って自分の席へ智士君は帰っていった。

戸上…か…。


綾と智士君は級長と副級長だから

いつも名前で呼びあってるし
2人で話して笑ってるよな…。


智士君ってみんなに優しいし、

きっと智士君が好きな人はいっぱいいるんだろうな…。


もしかして…彼女もいたりするのかな。


したら…諦めなきゃいけないよ。

うちに勝ち目はない。




{真弥side 終わり}



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