キス禁止令
千早は口数が少ないから、わかりにくいけど本当はすごく優しくて
だから女の子にも人気があって、付き合った当初は千早が何も言ってくれないから不安になって
だけど今は、千早が何を言いたいか、何を言ったのかがわかるようになった。
だけど今はわからない。
千早、何を思っているの?
キス禁止令、2週間目。
だんだん我慢出来なくなってきたのは千早ではなく、私だった。
私から言い出した手前、2週間っていう短い時間でリタイアなんか出来なくて…。
逆に千早はなんともないような様子で毎日を過ごしている。
キス魔だったのが、うそだったんじゃないかってくらい。
「梓、帰ろ」
「うん。」
帰り道、やっぱり手は繋がらないまま、一定の距離を保っている
「あ、未来と森君だ。」
私達の少し前に未来と森君が手を繋いで楽しそうに帰っている。
私達には気付いてないみたい
「あ…」
未来と森君が軽くキスをした。
初めて見る、2人のキスシーン
未来は頬を少し赤くして幸せそうに森君に笑いかけていて
森君はそんな未来を愛しそうに見つめていて…
幸せが目に見えるのなら、きっとあれが幸せなんだと、そう思う