キス禁止令
なんだか堪らなくなって、勇気を出して千早の手を握った。
「!」
だけどそれは、やんわりとかわされてしまった。
行き場のない、私の手を鞄を両手を握ることによって誤魔化した。
悲しくて、辛くて、
だけど、こんな風にしてしまったのは…まぎれもなく私。
キス禁止令、15日目。
「未来ー…」
「ほら、言ったじゃないですか。覚悟してくださいって。」
「だって…」
こんなに辛いなんて、わからなかった。
未来が言った、覚悟してくださいって意味がやっと理解できた。
私は、覚悟が足りなかった。
「手も繋いでくれないの、抱き締めてもくれないの…」
「そうでしょうね。」
「何で…?キスは禁止したけどそれ以外は禁止してないのに…」
わからないよ、どうして?
千早は、呆れちゃったのかな。
めんどくさい女だから…。
「勝手ですね、梓は。」
「……」
「キスは駄目、だけどそれ以外はいいだなんて無理です。」
「え?」
「我慢出来ますか?梓なら。」
我慢って………なに?