SECRET SYSTEM
「マセソンさん、マーセーソーンさんッ!!」
「わああああッ!?」

考え込み過ぎて目の焦点が合っていなかったらしい。マセソンの目前には心配そうなサラの顔がある。

「ちょっと失礼します」

そう言うと、サラは突然、マセソンの耳たぶをつまんだ。1・2・3秒。
その間、マセソンはただあっけに取られていただけだったが、
サラは手を放すと、とたんに悲しそうな表情になった。

「熱は無いみたいですね。やっぱりちょっとお疲れなのかしら・・・申し訳ありません、引っ張り回してしまったみたいですね」

どうやらまた、識別センサーの応用を行った様である。


「な、なんだ。熱計ってたのか・・・。
ああ、いや、サラ。僕はちょっと考え事をしてただけだから大丈夫だ。
それにたまには運動も必要なんだからこれくらいがちょうど良いんだ。
よって、君が気にする事は何も無い-----ところで、もう着いたのかい?」


さながら周りに冷や汗が飛んでいる様なおももちで、
必死に取り繕うマセソン。


ちなみに、彼らが現在いる場所は、今まで続いていた膨大な量の木々の間を抜けた所にある、少し広めの草原地帯。ぽつぽつとしか木が立っていないが、擦り抜ける風は相変わらず気持ち良い。

ただ、今までと違うのは、種々様々の生き物たちが一堂に会していたことだ。

牛、馬などの動物をはじめ、虫も鳥も爬虫類も、なんでもいる。
何よりマセソンが驚いたのは、それらが寄り集まって目の前に何か品物を置き・・・さながら定期市のように取引し、ひしめきあっていたことである。

「ここは、商店街みたいなものなんですよ。あ、このイヤホンをつけて下さい。後、お話の通訳は私、しますから何でも言って下さいね」

そう言いながら、サラは自分の耳につけていたピアスのような物を外してマセソンに手渡した。

「こんにちは、お久しぶりです」

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