SECRET SYSTEM
継続して呆気に取られたままのマセソンを尻目に、サラは手近にいた動物(ヤマイヌだろうか)に話しかけた。
全く、サラのこれからの行動が思いつかない。・・・一体、何をするつもりなんだ。


すると突然、マセソンが先程耳につけたイヤホンに低い声が流れて来た。


「おうよ、久しぶりだなサラ。・・・おや、なんだい今日はコブつきか」

「コブじゃありませんよー。お友達です。ジャーデン・マセソンさん。立派な研究をなさってる、とってもえらーい方なんです」
「はーん、どうもそういう風には見えねぇんだがなァ・・・」
言いながら鼻息を吹く犬。

ここまで呆然と聞き流していたマセソンだったが、ハッと我に返った。
我に返ると同時にムカムカっとこみあげるものを押さえることが出来なかった。状況把握することも忘れて。

「・・・し、失礼なヤツだな!そういう風に見えなくたって俺は研究者なんだ!お前にどうこう言われる筋合いはないッッ!」

「なんだ、お前オレに歯向かうってぇのかい。新入りの癖に生意気な!」

文字どおりケンカ腰で牙を向き合う一人と一匹。

「アンタ、若いコ相手に何ムキになってんだい・・・ごめんね、コイツ短気でね」

そう言って二人の間に割って入って来たのは、
毛並みが綺麗に整った、貫禄十分の雌猫。
雌猫はマセソンの足元にチョコンと座ると、ニャーと一声鳴いた。

「アタシはリリー。コイツはタンザ。あんた見たとこフツーの人間だね?」

「ああ、まあ。俺・・・僕はマセソン・ルシーダだ。それより、君たちは一体ここで集まって何をしているんだい」

乱れた服をきちんと整えて、マセソンはリリーに尋ねた。
不思議そうな顔をするリリー。
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