SECRET SYSTEM

「ごめんなさいリリー。マセソンさんには、イヤホンしか付けてもらっていないから・・・私が通訳します」

サラはそう言うと、先程マセソンがリリーに尋ねたような事をリリーに告げた。ふんふんと聞き入るリリー。

「アタシ達はね、皆ここ一帯に住む山の仲間さ。
ここの山は自然の恵みが豊富なんだが、何しろ広いモンだから、
色々食料集めんのも大変なんだ。
んで、定期的にこうして山の仲間皆で集まって、
自分のねぐらの辺りで取れるモノなんか持ち寄って、色々情報や食料の交換なんかしたりする訳さ」
話し終えたリリーの喉を、サラは優しく撫でながら続ける。

「私も、ひょんなことからお仲間に入れてもらっちゃってるんです。
私の担当は、これですけどね」

そう言いながら取り出したのは、先程出掛けに持ち出したあの木の実の袋。
よく見ると、花の種も混じっていた。

「私、美化委員担当で」にっこりほほ笑む。



「ここの辺りの花や草の手入れはね。皆サラがやってくれてるんだよ。
ついでに健康診断もしてくれるから大助かりなんだ」


リリーはサラから体を離すと、
体に似合わない位の大声で他の仲間に呼びかけた。


「さあ、お客さんを待たせちゃ悪い。皆、さっさと取引しようじゃないか!」
< 13 / 36 >

この作品をシェア

pagetop