SECRET SYSTEM
騒動の朝<後>
精密で膨大なデータで構成されている“サラ"を、元通りにするにはゆうに三日を要した。


とにかく、“サラ"を維持する為に重要な箇所のエラーから対処して行くことになった。メインコンピューターに直接干渉し、一時的に“サラ"の中枢部分をマセソンのパソコンに移す。
つまり、“サラ"のメインコンピューター(脳及び心臓のようなもの)をマセソンのパソコンに移しかえたのだ。

「・・・メインに問題は無い。故障はシステムじゃ無いな、どうやら。
メインから各部への命令を出す通達の回路の接触が悪いんだろう・・・・。
だから定時になっても命令が来ないんで、各部のシステムが何故か勝手に電源を落としちまったんだ」
「・・・各部にも、オプションで、非常用のプログラムがあって、待機電源の大量消費を防ぐために、一定時間が過ぎると、自然に、電源を落としちゃうんです。
省エネ対策で」

「省エネ対策」

パソコンのディスプレイと睨み合いしたままで、マセソンはため息混じりに繰り返した。

「本来なら喜ぶべきシステムなんだろうね。だが今は素直に喜べないな・・・」
「ごめんなさい」
「いや、君が謝ることはない。・・・よし、じゃあ先に、自己回復プログラムを、各部にこのパソコンから送るよ。 恐らくこのパソコンからなら、通達に問題はない筈だ。先に各部待機電源を入れた状態にまで戻してから、 君の回復を待とう。落ち着いたら、問題箇所の修理だな。それで問題ないようならメインを君に戻すよ。・・・ 構わないかい」

「はい」

マセソンは、自分でも驚くほど饒舌になっていた。今まで研究したことを最大限に生かすつもりで、頭をフル回転させていた。
< 21 / 36 >

この作品をシェア

pagetop