SECRET SYSTEM
SEREA-セレア-
夕飯の後、マセソンは研究の為に部屋に引っ込む。
その時間、サラはひとりで自室にいたり、散歩したりする。
勿論、マセソンの手伝いをすることもある。

その日は、サラはひとりで自室にいた。戸棚の整理をすることにして早三時間。いつまで経っても終わらないのは、出てくるひとつひとつの品物に関してのメモリーを引っ張り出して思い出に浸っているからだろう。

ひと通り散らかし・・・いや片付け、戸棚を閉めようとした時、
カタンと床に何か落ちる音がした。

「何かしら、・・・フロッピー?・・・でもこんなの、私見覚えない・・・」

床に落ちたのは1枚の、古い型のフロッピー。
いつのものなのか、ラベルが剥がれかかっている。

「タイトルは・・・SEREA、“セレア"・・?」

------何だろう、私、知ってる。この名前、どこかで聞いた、名前。

記憶システムのメモリーを検索する。会話記録も検索する。見当たらない。
でも何処かで聞いたことがあるような気がしてたまらない。
うーん、解らない。でも、気になる。

サラはフロッピーを見つめたまま、しばらく“セレア"に思いを馳せていた。

(マセソンさんに聞いたのかな。今度聞いてみようか・・・。
でも、あの時直してもらってから、なんだか上手くお話出来ない。
どうしてだろう。やっぱりまだ、どこか故障箇所が残ってるんだわ。
そのこともちゃんと聞いてみようっと)



その頃、自室に引っ込んでいたマセソンもまた、引っ掛かりを覚えていた。

(やっぱり、似ている・・・祖父のシステムと・・・。
内部の構造がほとんど同じだ。
サラは、ひょっとして何か知ってるんじゃないか?
他の研究者が祖父の図面を元にして同じものを造ったにしても、
それにしてはあまりに工夫がなさ過ぎる。
可能な動作、基盤の配列、とにかく、同じと言っていい程に・・・似ている)

もう一度サラに聞いてみないとな、マセソンは誰にともなく呟いた。
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