SECRET SYSTEM
それから幾日が経ったある昼下がり。


「あの、マセソンさんっ。お話したいことがありますっ」
「な、なんだい」

洗濯物を取り込んでいたマセソンは、妙に気負ったサラに気圧されながらもなんとか落ち着いて返事をした。

「あの、えっと。私、この間からやっぱり変なんです。
会話のシステムがおかしいんでしょうか・・・すみません、もしお時間空いてたら、もう一度、見てもらえますか?」
心底済まなさそうな顔でマセソンを伺うサラ。
「構わないけど・・・多分故障じゃないとは思うんだがなあ」

本人が見てくれというし、マセソンには断る理由はない。ただ“構わない"ということに前ほど抵抗を感じることはなくなっていた。

手早く洗濯物を片付けて、サラの部屋に向かう。勿論、あの時大活躍だったノートパソコンも一緒だ。

(そういえばこれは、あの人からの贈り物だったな)

あの人というのは、祖父カミルのことである。
ノートパソコンは、父の助手をやめ、ひとりで研究所を持つようになったお祝いに、祖父母から贈られたものだった。
しかし、今でも信じられない。なぜあの時あんなに頭が回ったのか。

「まっさか、このパソコンに取り憑いてたりしてね」
マセソンは苦笑しながら必要なものをまとめ、サラの部屋に急いだ。



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