SECRET SYSTEM
秘密
「立派になったわね、どう?研究所のほうは」

全く動揺していない様子のセレア。
マセソンは何だか決まり悪くなって、
動揺をできるだけ押し隠しつつ口を開いた。

「お陰様で・・・。この間お会いしたのは確か十二年前だったかな」
「・・・そうね、もうそんなになるわね」

マセソンは、セレアの顔色を伺いながら、どう質問を切り出そうか迷っていた。奇妙な沈黙が流れる。すると、

「マセソン、何か尋きたいことがあるんじゃない?」
「ええ。実のところ尋きたいことが多すぎて、・・・迷っているんです」

ため息混じりの、やっとのマセソンの本音。セレアはクスッと笑うと、

「そうね、それならこっちから話したほうが良さそうね。

このシステム、あなたももう調べて解ってるとは思うけど。あなたのおじいさま・・・カミルの図面によって造られたものよ。
私がカミルより先に死んでしまったことが原因でね」

さすがにマセソンはもう平静を装っていられなかった。訳が解らなさすぎる。

「ど、どうしてですか」

「まあ落ち着いて。私はもともとからだが弱くて、カミルも気を遣ってくれてはいたのだけれど、ある時カゼをこじらせてね。肺炎を併発して危篤状態にまでなってしまったの。医者にもサジを投げられて、ああここまでかって思った。そうしたらあの人は------

『セレア、死ぬんじゃない。いいか、ここにあるのは試作品だが、わしが長年研究して来たシステムだ。お前には黙っていたが、もう完成に近い。これにお前のデータと------意識と記憶を移植する』

『何をバカなこといってるの、カミル』

『バカか、そうだな、人の命を玩具にするような事、研究者としてもヒトとしても絶対してはならないことだ・ ・・だが、わしはお前を死なせたくないのだ。

お前にはまだ、わしの隣で、 笑っていてもらいたいんだ・・・』
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