SECRET SYSTEM
マセソンがこんな状態である理由は、すぐにも本人の口から話された。
サラが服の話の後、何も言わず何も聞かずにマセソンを介抱し始めたせいである。普通ひと言ふた言、「どうしたのか、なぜここにいるのか、その格好はなんなのか」等質問があってもいい筈なのに全く、ノータッチであった。
たまりかねたマセソンはとうとう、
半泣きでサラに話を聞いてくれるよう懇願する羽目になった。

「君は僕を介抱してくれた。それは有り難い。とても、感謝してる。
ただ、こう・・・なんというか、自分で言うのも何だが・・・
こんな怪しい男が勝手に君ん家の庭に入ってたんだよ。
そう、不法侵入だ。
それを何も言わず、介抱してくれて、君はなんて優しい・・・・」
「まあ、ありがとうございます」
「いや、どういたしまして・・・・ってそうじゃなくて!
何か気になることとか、ないのかい?」

動揺の色一つみせず、穏やかに微笑むサラに、マセソンは頭を抱える。
マセソンのあまりの悩みように、流石にサラもちょっと困った顔で、

「そういわれましても。わたしの中のセキュリティー・プログラムは、危害を加えられない限り起動しないことになってますので・・・それに、困っているひとは助けなさい、とマスターに言いつかってます」
「プログラム?マスター?何のことだい・・・ええっと・・・あ、まだ名前を」

「申し遅れました。わたし、人型生活補助システム・製造番号S-200、
通称“S-A-R-A"。サラ、とお呼びいただいて結構です」


 
「・・・君は、まさか・・・機械(システム)、なのかい」



マセソンは、自分の口から出た言葉に吃驚した。
機械だなんて。そんな馬鹿な。

「ええ、そうです。ミスター、あなたのお名前は?」
全く落ち着き払って、サラが答えた。
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