SECRET SYSTEM
エピローグ
「なーに書いてるんですかマスター!」
「うわわわわわわわわわわわわーッ!」
「きゃあああああああああああッ!」

マセソンも気づかないうちに、サラが部屋に入って来ていた。ふたり揃って間抜けに叫び声を上げ、やっと落ち着いたマセソン。
「吃驚した・・・は、入るときノックしたかい、サラっ」
サラは憮然とした表情で、
「しましたよー、三分二十秒前に三回程・・・」



「それより、何かいてたんです」
マセソンは慌ててパソコンのディスプレイをパタンと閉じて、ごまかした。
「いや、ちょっとレポートをね」
「そうですか・・・お疲れさまです。えっと、あのー、マスター」
遠慮がちなサラ。
「なんだい」
「・・・私、なんだか最近、“生まれてよかったなあ"って思います。
記憶システムが混乱してて、遠い昔のことは 思い出せないけれど、
でも、きっとその時から幸せだったです。
それに」
「それに?」

サラは少し間をおいて、照れたように笑いながら、
「マスターがマスターで、私幸せです」

マセソンの方は少し吃驚しながら、それでもやっぱり笑って。
「僕も君のマスターで良かったよ」


ふたり、笑いあった。



マセソンは思った。
こうやってサラといるうちは、僕はまだ、やれる気がする・・・・と。





「・・・ところでマスターこれ、あの、作りたいんですけど、私」
そう言ってサラが取り出したものは、一冊の料理の本。
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