SECRET SYSTEM
「祖父の研究記録は、主に君みたいな・・・
"生物を模した機械"についてのものだった。
勿論、人間型だけじゃない。
犬や猫、モルモット型の図面までもがあった。
どれも複雑すぎて、今の僕には理解仕切れなかった。
…もっとも、そう解ったのも3日経ってからだが」
「おつかれさまでした」
「----君が言うと厭味に聞こえないから不思議だな。
・・・とにかく、それでも僕は何とか読めるところから読み込んでいった訳だ。
すると、ある項目に驚くべき事実が記録されていた。

ある《人型生活補助システム》との生活記録だ。

これがどういう事か解るかい。
祖父は、 実際に図面通りシステムを作り、そして成功させていたんだ。
生活記録が、祖父の作ったシステムの精密さ・精巧さ、正確さを克明に表していたよ。しかし、その記録もシステムも、なぜか祖父の死の1カ月前で突然消えている」
「具合でも悪くなられたんでしょうか」
「それもあるだろう。事実、祖父は肺を患っていて、いつ容体が悪化してもおかしく無かったからね。しかし---それなら尚更、システムが祖父を助けていた筈だ。

僕は調べを進めた。
すると、祖父には独自の研究仲間のネットワークがあることが判った。

祖父はその研究仲間に、こっそりシステムの記録などを流していたらしい。
最近ぽつぽつと工場用のロボットとか、ペット型のとか、
発表されているのを聞いたことがあるだろう?」

「ええ、まあ・・・詳しくはありませんが」

「あれはみんな、祖父の研究成果だ。
祖父がなぜ…その、手柄を…みすみす手放すような、そんな事をしたのか、
僕にはよく解らなかった。

それで、 僕は、祖父の造ったシステムを探すことにした。

まだ見たことは無いが、あの造りならまだ稼働している筈だから、
とりあえず逢って、話してみようと思った。


さっき僕は、ひょっとしたらそのシステムが君じゃないかと思ったんだが・・・」
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