SECRET SYSTEM
ちらりとサラに視線を投げるマセソン。
サラは一瞬、きょとんとした。

しかし、すぐににっこりと微笑んで、そして少し残念そうに、

「申し訳ありません。きっとわたしは貴方のお探しのシステムとは違いますわ。わたしのマスターの名前、“なんとか・ルシーダ"とは記録されて無いんです」

マセソンはそれを聞くとともに無言でテーブルに突っ伏した。
そして、深いため息をはーっ、とひとつ。

「いや、君が謝ることはないよ。
んー、・・・やっぱり違うかあー・・・そうだよな、君は祖父が造ったにしては少し新しすぎの感があるしな・・・」

「でも、非常に興味深いお話でしたし、わたしは楽しかったですわ」

「そいつはどうも」

自分の目の前で、満面の笑みを浮かべながら話に聞き入ってくれているサラ。最近の、人工皮膚なんかの技術がいくら発達しているとはいえどうも人間臭い感じがする。見るものを和ませるやさしそうな雰囲気は、果たして製作者の影響だろうか。
しかし、それにしてはどこか《綺麗すぎる》ので・・・彼女はやっぱり人間ではないのだろう。

マセソンは少し考えて、

「サラ。よかったら、・・・いや、長居するつもりはない。数日でいいんだ。
君のデータを取らせて欲しい」

「ミスター・マセソン・・・」

「僕は・・・祖父に少しでも近いような、偉大な研究者になりたい。
それだけ思い込んで出て来て、
財布スられて行き倒れてりゃ世話無いけど・・・でも、それが僕の夢なんだ。

そしてそれには何としてもあのシステムに逢わなきゃいけない。

サラ、君を知れば、僕にだって《システム》が、祖父の考えが…解るかもしれない、いや、はっきりと答えは出なくても、手がかりを得られる筈なんだ。

・・・・不躾な願い事と承知で…頼む」
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