SECRET SYSTEM
真剣な瞳で、マセソンはサラを見つめた。こんなチャンス、二度と無いかもしれない。祖父の造ったものとは違うけど、実際に稼働している《人型生活補助システム》に巡り会うことが出来たのだから。あの膨大な研究記録は、読んだだけでは今の自分には理解出来なかった。それが死ぬほど悔しかった。


でも、今それが目の前にいる。


百聞は一見に如かず、とか昔から言われている。



これは、――あの偏屈な、僕の祖父を理解する――チャンスなんだ。



ややあって、サラが静かに口を開いた。


「ミスター・マセソン、わたしはこれでもだいぶん昔のシステムです。
1日2回、自分で調整を行わないといけない程のふるーい、機械です。
貴方のお爺様のシステムには、きっと遠く及ばないと思います・・」


そこまででいったん言葉を切り、もう一度マセソンに柔らかく微笑んでみせた。

「こんなわたしで、貴方のお力になれるのでしたら、喜んで」


「ああ、有り難う!本当に有り難う!サラ、君はなんて優しいんだ!」

ガタッと、思わずサラの腕を掴んで立ち上がってしまったマセソン。

「きゃ、ダメですミスター・マセソン!!
わたしの調整装置は両腕にあるんですッ!!」


いつに無く取り乱したサラに驚き、マセソンはあわてて腕を離した。

「ご、ごめんサラ。
――それにしても、"ミスター"ってのは堅苦しいな。マセソンでいい」

「了解しました。マセソンさん」

「うーん・・・まあ、いいかな。宜しく頼むよ、サラ」

「はい、こちらこそ」
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