晒し神

詩織は机の横にかけた、手提げ袋から、小ぶりの水筒を取り出すと口を開け、その中身を頭から被り始めた。

教室内にガソリンの臭いが漂う

驚きのあまり、誰も声を発せず見つめる中、冷静な感じでポケットからライターを取り出し、自分のポリエステルのスカートの裾に火をつけ始めた

炎は瞬く間に全身を包んだ

「キャァ～！」誰かの悲鳴
その瞬間、教室は逃げ惑う生徒と悲鳴、詩織の名前を連呼する先生の声で阿鼻叫喚になった。

ビニールや髪の毛が燃える様な嫌な臭いを発し、ただ立ちすくみ、燃え上がる詩織の体

なにか声をあげているのか、口が動いて見える

そのうち焼け爛れる筋肉のせいなのか、ボクシングの「ファイティングポーズ」の様に腕を持ち上げると、そのまま前に崩れるように倒れた

学校内には火事を知らせる警報が、けたたましく鳴り響いていた