晒し神
真治が行ったある行為
それは「子猫への虐殺行為」だった

タバコを買いに出た夕方、近道で横切った小さな公園の
ベンチの下にそれを見つけた

真治は「ナァ~」と鳴くダンボールを覗き込んだ
そこには二匹、まだ目も開かない子猫

一匹はもう死んでいるようだった

フルフルと力なく震え、声にならない声の子猫

真治はそれを見た時に、タバコを買いに出る前の
父親との会話を思い返していた

小銭を母親から貰い、家を出ようとした時
後ろから「34にもなって無職で恥ずかしくないのか!」
と父親から罵られた

何故か子猫を見ていたら、無性にイラッとした
真治は足でベンチの下から、ダンボール箱を小突きながら出すと
辺りを見回して、人気がいない事を確認すると、
その箱を思いっきり蹴飛ばした

衝撃で箱から飛び出し、地面に転がる子猫に近づくと

「世の中、甘くね~んだよ!」
そう呟やくと、子猫を踏み殺した

それを何故か携帯で撮影し、ネットの「匿名掲示板」の「ニート板」に

「世の中の厳しさを教えてやりましたw^^」
と写メを添付して書き込んだ

それに対し反響は思いのほかあり、大半は罵倒や非難だが、
何故か自分を擁護する書き込みも多数あった

その書き込みの中に

「この様な行為 書き込み 悔い改めよ 続けるなら 罰す」 晒し神

真治はこの書き込みに対して
「だから何か?w」などと、煽る言葉を書き込んでいた

書き込みが注目されたことによって、真治は有名人にでも
なったかの様な、高揚感を感じていた
< 2 / 50 >

この作品をシェア

pagetop