晒し神
「晒し神!てめ~出て来いよ!クソが!」

「携帯やゲームの中にまで出て来てんじゃねーよ!」

中継を通して喚き散らす男の声が、テレビのスピーカーから流れる

「ちょっと音高くして!」
唯が画面の前に乗り出して「今携帯とゲームって言ったよね?」と市毛に聞いた

「よく聞こえませんでした」と市毛は首を振った

時折聞こえる、男が叫ぶ「晒し神」の名前は聞き取れるものの、他の叫んでいる言葉がききとれない。

一々レポーターをアップしての実況にもイラついた

「ここから近いですね」と、須藤が言った

と、同時くらいに状況が動いた

男が人質の小学生を前に突き飛ばし、持っていたナイフを持ち替えて自分に向けた。

「あ!」とテレビを見ていた部署内の誰かが声を上げた

その瞬間、映像は男の不思議な動きを捉えていた

ナイフを自分に向けたまま、のけぞって後ろに倒れこんだ

待機していた警察の部隊の一人が、男の顔面に「ゴム弾」を打ち込んでいた

倒れた男には「どこに居たの?」と聞きたいくらいの、警察官達が多い被さっていた。
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