晒し神
「晒されたその日に、マンションはすぐに解約して、新しくネット完備のウィークリーに引っ越したんだ」

「プリペイドの携帯にして、秋葉で新しいノートパソコン買ってさ」

「それから一週間、パソコンは見るだけで、書き込みはせず、様子をみていた」

「で、何も起こらなくて、正直、勝った!と思ったよ」
肩を落としながら、佐藤は言った

「一週間、書き込みはどこにもしていないのね?」

「ああ、いつも見るブログとか見て回ったり、ネットゲームをしていた」

「その後、晒された掲示板は見たの?」

「見たよ、お祭りになってたな」

「でさ、お祭りついでに事件を起すちょっと前、一度だけ書き込んだんだ」

「俺は晒し神に勝った!」って

そう佐藤は答えると、急に思いつめた表情で、カタカタと手を震わせながら

「でもよ、来たんだよ、アイツは!」
と、大声を上げた

「落ち着いて!」
なだめる唯に、佐藤は言葉を続けた

「長年やっているネットゲームがあるんだけど、あの事件を起す前日」
言いながら下を向く佐藤

「起す前日?」唯が聞き直した

「居たんだ」小声で話す、佐藤

「え?なに?」聞き返す、唯

佐藤は小刻みに体を震わせながら、顔を上げると

「居たんだよ!俺のゲームのキャラクターになって!」

「ゲームのキャラクターの名前が<悔い改めよ>になってたんだ!」

「それだけじゃない!それだけじゃない!」
震える佐藤に

「全部聞かせて」
と、真剣な眼差しで、優しく佐藤に言った





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