晒し神

探し物

「ブンブンブン♪蜂が飛ぶ~♪」

昼ごろ、都内のあるオフィスビルで

鼻歌を歌い、機嫌よくカチャカチャと、キーボードを操作するスーツ姿がある。

「社長、ご機嫌ですね」と女性社員がお茶を運んできた。

「ん~、何とかここまできたからね~」
出されたお茶を口に運んだ。

「うまくいくといいですね」の声に

「ありがとう」とスーツ姿は微笑んだ




数日間、唯が「晒し神」に仕掛けた「騙り」には動きが無かったが、
唯が市毛に分析を頼んでいたデーターには動きがあった。

「唯さん、コレ見てください」

「今回調べた、68台全てのパソコンに共通で入っていたものです」
市毛が報告書を持ってきた。

その報告書の中に唯が探す共通のものが二つ出てきた。

ひとつは「幸せと安らぎのハーモニー」という、無料の視聴用シンセサイザー音楽のCD

もうひとつは
ネット上で無料にダウンロードできる「アンチウィルスソフト」だった。

「一応、両方とも調べては見ましたけど、別段おかしなところは無いですね」

「別々じゃなくて、プログラムを組み合わせて調べて見た?」

「いえ、それは」
あっ、という表情で市毛が答えた。

「たぶん、すぐには見つからないとは思うけど」

「あと、この両方の製造元、調べて」

「はい、解りました」と市毛は答えたながら

「ところで唯さん、そろそろ全部聞かせてくださいよ」と唯の顔を覗き込み、二ャッとした。
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