晒し神

別の場所で

「しっかし、コイツ不愉快だよな~!」
掲示板を眺めていた大学生の雄太が、モニター画面に呟いた。

「えっ?何が~?」
同級生で彼女の歩美がモニターを覗き込む。

「いやさ、コイツ、障害を持っている人達を馬鹿にするというか、よくこんな事が書きこめるよな」

そこには
「手足のない奇形児、水泳自由形100mで新記録」の見出し。

その下に
「新記録でインタビュー、生きていてごめんなさい」等々。

「毎回、毎回、障害を持つ人や、病気のひとを題材にして、蔑む言葉でコイツ遊んでやがる」

冷蔵庫に飲み物を取りに立ちながら雄太が言った。

「世の中、人の痛みが解らない人って多いし、書き込んでも誰が書いたなんて、バレないだろうしね~」
歩美が見つめるモニターには、ハンドルネーム「Mrモチヅキ」なる人物の、非人道的な書き込みと、それを注意、中傷する良心的な書き込みが、並んでいる。

モニターを見ていた歩美がマウスを動かしてると
「ねぇ~ねぇ~!」と雄太に後ろ向きで手招きをした。

「これ、何?晒し神だって」ある一文を指差した。

「ん~?」雄太がモニターを見ると

「この様な行為 書き込み 悔い改めよ 続けるなら 罰す」 晒し神

「何だろうね?訳わかんね~」
そう言いながら、歩美に持ってきた缶ジュースを手渡した。


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