晒し神
「ロックが、かかっていると言っていた」

「それとごめん、実は言わなかったけど、完成品を渡してもらう約束をしていたの」

「そのCDのパスワードも聞いていたのに・・・」

「え?そうなのですか?それってどんな?」市毛が興味ありげに尋ねた。

「ごめん、言えないの、今日提出する、この報告書には記入してあるけど、機密扱いなの」と封書を見せながら

唯は「嘘の情報」を教えた。

唯は壁の時計を見ると
「あ、もう十一時だ。午後から報告に行くので、その前にお昼すましちゃお」
そういうと自分のデスクの引き出しに報告書をしまうと、昼食に出た。


地下駐車場のエレベーターのドアが開いた。

そこへ「ちょっと!須藤くん!」と、降りてきた須藤を呼び止める、唯の声がした。

なぜか、昼食に出たはずの唯の姿が、地下の駐車場にあった。

車に乗り込もうとする須藤は「何か?」と静かに答えた。

唯は、須藤が右手に持つカバンから、少しはみ出す封書を見て
「あなたが北原さんを殺害したのね?」と問い正した。

唯は食事に行く振りをして、自分のデスクから、書類を持ち出す人物を、影から見ていた。

少しうつむいたかと思うと、いきなり須藤は唯を突き飛ばし

「あんたは解ってない、このソフトが、どれだけ凄いものなのか!」
そう吐き捨てると、車に乗り込んで走り出した。
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