水島くん、好きな人はいますか。
「……」
「あと、自分で言いたくないんだけど……。わたし、瞬からあの子を紹介される気配を感じたことがないから……」
大丈夫? 頑張って?
「えと、わたしもみくるちゃん派だからっ」
なんとなく握ってしまった拳をふたつ見せれば、
「……ありがとう」
みくるちゃんは瞳を揺らめかせ、感謝の言葉を添えた。
「う、ううん……あやふやでごめんね」
「万代って嘘もだけど、自信なさげに言うから励ますのも下手に見えるんだよね~」
りっちゃんが言うとみくるちゃんは吹き出し、「わかるーっ!」なんて、それはそれでショックなんだけど……!
「でも必死なのが伝わるからさ、嬉しいんだよね」
ありがとう万代。と、今度は笑顔で言ってくれたみくるちゃんにかぶりを振る。
「なんかすっきりした! 今までは友達とふたりで話してるだけだったからさ。聞いてくれてありがとう」
照れくさそうに言うみくるちゃんは満面の笑みを浮かべる。それが愛嬌たっぷりで、わたしまでつられてしまった。
「あ、そうだ。りっちゃんメアド教えて? 交換しよー」
「まじっすか! あざーっす! ついでにSNSとかやってたら教えてくださいっ」
「ええ? いいけど、急にキャラ崩壊したね」
「……りっちゃん、すっごい面食いだから。SNSは写真目当てだと思う」
「ちなみに観賞専門で恋愛には興味ないんで誤解無きようっ!」
敬礼するようにピースをしたりっちゃんはウィンクまでして、みくるちゃんをぽかんとさせる。