水島くん、好きな人はいますか。

「……」

「あと、自分で言いたくないんだけど……。わたし、瞬からあの子を紹介される気配を感じたことがないから……」


大丈夫? 頑張って?


「えと、わたしもみくるちゃん派だからっ」


なんとなく握ってしまった拳をふたつ見せれば、


「……ありがとう」


みくるちゃんは瞳を揺らめかせ、感謝の言葉を添えた。


「う、ううん……あやふやでごめんね」

「万代って嘘もだけど、自信なさげに言うから励ますのも下手に見えるんだよね~」


りっちゃんが言うとみくるちゃんは吹き出し、「わかるーっ!」なんて、それはそれでショックなんだけど……!


「でも必死なのが伝わるからさ、嬉しいんだよね」


ありがとう万代。と、今度は笑顔で言ってくれたみくるちゃんにかぶりを振る。


「なんかすっきりした! 今までは友達とふたりで話してるだけだったからさ。聞いてくれてありがとう」


照れくさそうに言うみくるちゃんは満面の笑みを浮かべる。それが愛嬌たっぷりで、わたしまでつられてしまった。



「あ、そうだ。りっちゃんメアド教えて? 交換しよー」

「まじっすか! あざーっす! ついでにSNSとかやってたら教えてくださいっ」

「ええ? いいけど、急にキャラ崩壊したね」

「……りっちゃん、すっごい面食いだから。SNSは写真目当てだと思う」

「ちなみに観賞専門で恋愛には興味ないんで誤解無きようっ!」


敬礼するようにピースをしたりっちゃんはウィンクまでして、みくるちゃんをぽかんとさせる。
< 105 / 391 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop