水島くん、好きな人はいますか。
「……人格矯正ってどうやるんだろう」
なんて、たぶん試されてるんだよなあ……。
なにをされても言われても、わたしは本当に水島くんと友達でいたいのか。延いては水島くんに対しても、瞬はある意味で疑問を投げかけ、答えを求めている。
さっきのあれは、
『万代に関わると俺よりひどい言動をするやつが出てくる可能性がありますけど、どうよ?』
って感じだと思う。
そんな可能性はないって言いきれないのが悲しいけれど、瞬はいつだって本気で、わたしが1度しっかりと気持ちを伝えただけじゃ満足しない。
「でも水島くんに申し訳なさすぎる……」
「気にせんで」
「びっ……くりしたあ。やめてください、気配消すとか」
「万代が考え込んどっただけじゃろー?」
それはそうですけど。
気にしないでなんて言われたら、我を貫きたくなる。
貫こうとしてるから瞬が相変わらずなんだけどさ。
「電話、終わったんだね。お兄さんと水島くんって、似てるの?」
グラスにサイダーを注ぐ水島くんに、顔をしかめられる。
「全く似ちょらん! あんな阿呆と似たくもなか! 気持ち悪っ」
元からアホなのに髪の毛がオレンジ色になってからもっとアホに見える、らしい。
水島くんにそこまで言わせるお兄さんっていったい……。派手?なのかな。ますます気になる。
「でも避けないってことは仲悪いわけじゃないんだよね?」
「仲良くもないけどな」
グラスに口をつけて歩き出した水島くんのあとに続く。