水島くん、好きな人はいますか。
もしかして水島くんが今日なにも言わず微笑んで見つめてきたのも、そういうこと? わたしがお母さんとうまくいってなかったのがバレてたってこと、だよね。
よく考えれば3時間ふらっと外出した日も、なんだかすごく心配をかけたみたいだし。お母さんの怒鳴り声が瞬の家まで届いちゃってたのかなあ……。
息を切らした水島くんが現れたとき、瞬たちも心配してるって怒られたとき、気付けたらよかった。
ひとりで頑張ってるつもりだったけど、なにかあった?とか気配りがあったからこそ、頑張れたような気もする。
直に相談に乗ってもらったわけじゃなくても、支えられることってあるんだな。
そう考えると、本当にひとりで頑張ってることってないのかもしれない。それは、自分はひとりじゃないってことの証かもしれない。
「心配してくれてありがとう。みくるちゃんもなにかあれば、言ってねっ」
頼りないかもしれないけど……と付け足せば、目を白黒させていたみくるちゃんが笑い出す。
「あはは! なに急に、ありがとーっ」
「最近どうなのかなって。……あの巻き髪の子とか」
「んー。相変わらずかなー。まあ、あんま気にしないようにしてるから大丈夫。万代は? 好きな人とかー……って、ごめん。それどころじゃないんだね」
しおしおと俯いたわたしの手には、存在を忘れていたB判定。点数は上がり続けているものの、一度でいいからA判定をもらいたい。
もうすぐ冬休みだし、追い込みかけなきゃなあ。