水島くん、好きな人はいますか。
「瞬の誇らしげな顔って本当にむか、むかっ腹が、」
「ああ!? もっかいはっきり言ってみろマヨネーズ!」
「はははっ! んなら次は瞬が負けそうなゲーム選ばんとなー」
「なんでも来いよ。ひねり潰してやる」
鼻で嘲笑した瞬に敗北を味わせたくなったみんなは、躍起になってゲームを探し始めた。
ガンコンはもう二度と持たせたくないし、リズム系も高得点を出すし、格闘ゲームもコインゲームも瞬は得意だ。
瞬とゲームセンターなんて数年ぶりだからなあ……下手すると全部得意なんじゃ……。
ぐるりと辺りを見回し、とある大画面の前に置かれた馬のフィギアに目をつける。
「競馬ゲームは? わたしたちもだけど、瞬もわかんないよ」
馬券をメダルで買って出馬させるだけじゃない? あれ。
「確かにあたしも競馬ってわかんないけど……つまり運次第ってことだよね?」
「馬のフィギアが走ってくれるの? いいね。すぐ終わりそうだし、じわじわ盛り上がりそう」
「よっし、じゃあそれでよか! 瞬っ! これなら勝てんじゃろー!?」
数メートル離れた場所にいた瞬は「げっ!」と言い放つ。
「知らねえのか? 未成年は競馬しちゃいけないって、」
「ゲームだけん心配なか。それとも怖気づいちょー?」
「だっれが! ひとりでも俺に勝てなかったら全員次のゲームで俺の分も払いやがれ!」
そんなこと言ったら、ひとりでも勝てば瞬が全員分の代金を払うってことになるのに。
予想通り、勝手にルール変更をした瞬が痛い目を見るまで、10分もかからなかった。