水島くん、好きな人はいますか。


「あたし、万代とは同じクラスになれる気がするんだよ」


みんなに行き渡ったプリクラを眺めながら、みくるちゃんが自信ありげに言う。


「そうかな? なれるかな?」


外部入学してくる人たちもいるから高等部は3クラス増え、1学年10クラス編成になるんだけど……。


「俺も同じになる気がしちょー」

「水島くんも? それはさすがにないと思う」

「は!? ここ喜ぶとこだと思わん? 万代が同じクラスになりたいって書いたんじゃろー!?」

「そ、そうだけど! なったら嬉しいけどっ、水島くんは首席入学の可能性が高いでしょう?」

「ありえるね。でも高等部のクラス編成は成績順じゃないらしいよ」


え……ハカセ、携帯にプリクラ貼るキャラなんですね。


そっちのほうが気になってしまったわたしの代わりに瞬が驚く。


「まじか。万代てめえ、神頼みとかすんじゃねえぞ。神にまで迷惑かけんな」


今日から毎日瞬とクラスが離れますようにって祈ろう。



ゲームセンターを出たあとは買い食いしたり、服を見に行ったり、ぶらぶらと渋谷周辺を歩いた。


受験生になって遊ぶ回数こそ減ったものの、こうして笑い合う時間は糧になる。


楽しいと思う他に、不思議と頑張ろうと思える。


一緒にいたいって思うからかな? 頑張っているのは、自分だけじゃないってわかっているからかな?


どっちも正解のような気がする。


力を尽くすのは自分の仕事。そこに心を打ち込めるのはきっと、友達がいるからだね。

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