水島くん、好きな人はいますか。

・色合わせ



期末テストの結果は自己採点とほぼ変わりなく、良好だった。水島くんも最高得点を叩き出して先生を喜ばせたらしいけれど、やっぱりピアスは注意されたとか。


わたしは1位を獲ったお祝いに、プラネタリウムの期間限定上映作品のチケットをプレゼントした。


目を輝かせながらすごく嬉しいと言ってもらえて、それだけで充分だったから、一緒に観に行こうという水島くんの誘いを断った。


りっちゃんには『大バカ者』と言われたけど、勉強にも集中したかったんだから仕方ないんだ。


その結果得られたものがわたしを奈落の底に突き落としても、仕方ないとしか言いようがない。


「めっちゃ落ち込んどるが」

「落ち込んでませんっ」


冬休みが明けて2週間近く経った頃、わたしは仮想模試の結果を手に屋上を訪れていた。


「もういいんです。どうせわたしはB判定の賞味期限が切れかけたマヨネーズなんです」

「そぎゃんこと言うん、瞬だけじゃろ」


久しぶりに救助要請を出してきた水島くんが、少し呆れたように諭す。


だってあんなに意気込んで、みんなに宣誓までして、結果はA判定じゃないなんて。


選抜はすぐそこまで迫っているのに、踏んだり蹴ったりだ。


スクールバッグにつけている白いお守りを手に取る。水島くんと瞬とおそろいのこれを見ては、気合いを入れ直してきたんだけどな。


「……瞬は、『気張りすぎなんだよ』って言うの」
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