水島くん、好きな人はいますか。
「幼なじみくん、相変わらずの亭主関白っぷりだわー。それとも、モンスターペアレンツか」
校舎に入ると、りっちゃんは中庭を見返す顔に笑みをたたえていた。
「どっちも嫌だよ……」
「人気者でかっこいい幼なじみにかまってもらえても?」
「……りっちゃんだって幼なじみのようなものじゃない」
「それはお断りだわー。あたしは観賞専門だから、特別な関係なんかあったら楽しめない」
ひどい……楽しんでるのか。
それじゃあ代わってほしいなんて言えないじゃない。
「でもさあ、幼なじみくんは相変わらずだし……ていうか前よりひどくなってるよね。そうなると万代も大変だ」
「なにが?」
「恋とか、彼氏とか? 幼なじみくんが認めた人じゃないとだめって感じじゃん」
「それは……。どっちにしてもわたしは、恋愛のことで瞬に口を挟まれたくはない、かな」
「大方の予想を裏切って、幼なじみくんにはみくるちゃんって彼女ができたしね」
「それはいいことだと思う」
「いや~でも幼なじみくんにも一因はあると思うね! 先輩と別れてから、万代に彼氏ができないのはっ」
「……わたしも瞬も、前の恋をこじらせちゃっただけだよ」
たぶんそう。きっとそう。
だからわたしはいつまで経っても、関城 瞬の付属品なんだ。
.