水島くん、好きな人はいますか。
瞬に話せなくたって、わたしに話せばなにかが変わったかもしれない。
みくるちゃんと瞬がいつでも本心をぶつけ合えたら、ハカセと瞬が正々堂々とライバルでいられたら、また違った今があったかもしれない。わたしだって、他にもっと、できることがあったんじゃないかと思う。
わたしたちはどうしたって、後悔しないようには生きられない。心のままに行動をしたつもりでも、あのときああしていれば、こうしていればよかったって、きっと思う。
だったら、とことん悔やみたい。
今は苦しくて、しんどいだけかもしれないけど。負けずに立ち向かえる自分でいられたら、未来では後悔さえ愛しいものに変わるかもしれないから。
あの日があってよかった、って。わたしが思うみたいに。
「わたしにできること、少ないけど、努力するって言ったもん」
仲直りをした日に、友達でいたい、って言ったじゃない。
今だって変わらないよ。これからも仲良くしていたいよ。
「わたしは励ますのとか、得意じゃないけど……でも、相談してくれたら、元気になってほしいって思うから……っ何度だって言えた。瞬は……っみくるちゃんのことが大好きだよって、言ってあげたよ!」
ぼろっと落ちた涙と同じものが、みくるちゃんの目からも零れた。
「ふ、う……っうー……」
みくるちゃんは涙も拭わず、閉じきれない唇の隙間から涙声をもらす。そしてわっと堰を切ったように泣き出したみくるちゃんと距離を詰め、華奢な指先を握り締めた。