水島くん、好きな人はいますか。




「誕生日おめでとーっ!」


週末が明けた月曜日。昼休みを使って、ロッカーに潜ませていたプレゼントをりっちゃんと一緒にみくるちゃんへ差し出した。


「わー! ありがとうっ! 見ていい!? 開けていい!?」

「どうぞどうぞ」


みくるちゃんが丁寧に広げた包装紙の中からは、青やピンクのグラデーションが作れるラメ入りマニュキア数本と、ベースコートにトップコート、3WAYファイルが出てくる。


「これ、あたしが欲しいって言ってたやつだよね!?」

「前に万代と一緒に買いもの行ったっしょ? そのときリサーチしてたんだよー」

「バレッタと悩んだんだけど、夏休み前だし、マニュキアのほうが使えるかなーって」

「うわあ、ありがとう! 使う! 家帰ったら即使う!」

「そしてハイちゅうもーく!」


りっちゃんが見せつけるように出した手首に、慌てて頭を寄せた。ひらひらした透け感のあるレースのシュシュが、それぞれ手首と髪の結び目に付いている。


「色違いでおそろいなんだ。みくるちゃんは桜色」

「ま、あたしは結ぶほど髪がないんだけど。そこはふたりに合わせようかなと! 包んでなくてごめんよー」


わたしは白、りっちゃんは淡い黄色。みくるちゃんは手渡された桜色のシュシュを見て、「めちゃくちゃ嬉しい」とはにかんでくれた。
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