水島くん、好きな人はいますか。
・幼なじみ
またB判定……。
塾で受けた仮想模試の結果が出た。
私学専門の塾で個別指導、少人数編成の授業を受けているというのに、B判定以外をもらったことがない。
紙を持つ手を微かに震わせていると、隣の席に戻ってきたみくるちゃんが笑う。
「わかりやすいなー。落ち込み過ぎだって」
「だ、だって、今回はけっこう頑張ったのに……」
「いいじゃん、合格圏内なんだから」
「でもBの下はCだよ。もし選抜のときに実力を発揮できなかったら、危ないってことだよ……!」
「1回もCもらったことないでしょ。ほら、ちゃんと前回と比べなって。点数は上がってるじゃん」
そうだけど、上にS判定とA判定があるわたしは喜んでいいの?
「あのね、万代。Bもらえるだけですごいから。うちの学院って世間一般では難関って言われてるんだよ?」
「選抜に落ちたらどうしよう……」
「もう! 大丈夫だってば。よほどのことがない限り、万代は落ちませんっ」
「…………」
「なに? なんか思い当たる節でもあるの?」
「ううん! なにもないっ」
職員室から無断で屋上の鍵を拝借したことが、よほどのことに入ったらどうしよう……。