水島くん、好きな人はいますか。
「つらぬいてね、水島くん。途中にどんな困難があっても、負けそうになっても、心の芯だけは、曲げずにいて」
そんな水島くんにも惹かれたの。
焦ってばかりでかっこ悪いって、情けないって言っていたけど、それでも水島くんは前を見ることをやめなかった。
「水島くんはかっこいいよ。強くて、弱さもあって、人を想える優しさがあって……ヒーローみたいに何度もわたしのこと、助けてくれたもん」
眉をハの字にする水島くんに微笑む。
水島くんはなにか言いかけ、やがてもう一度口を開いた。
「ずっと一緒にいたい、って思うけん」
その相手が綾ちゃんだということは、すぐに理解した。
いざとなると胸が痛むなんて、心は正直だ。
でも、彼女への想いは口にしなかった水島くんが、話すべきだと判断してくれた。
わたしが告白をしないと決めていることを、察してくれたのかもしれない。気遣うのをやめて、真摯に向き合ってくれているのかもしれない。
嬉しい。胸はとても、痛むけど。
わたしが望む願いを叶えるためなら、この痛みも糧にしよう。
「俺はずっと自分のやりたいようにやってきちょる。3年以上前、黙っていなくなって。今年、同じように戻って……身勝手な俺と顔合わせたら、最低だって、嫌いだって言われるかもしれんけど」
「……けど?」
「俺、諦めも悪いけん」
水島くんはまた空へ視線を投げる。その瞳は月と星の光を誘いこんだように、きらりと輝いて見えた。
「永遠を一瞬でも信じてもらえる、そのときまで。俺は立ち止まらんって、決めちょーよ」