水島くん、好きな人はいますか。
また泣いてしまうかも。
会いたいって強く思ってしまうかも。
実はもう、思っているけれど。
わたしが水島くんの好きな人に入っているなら、それでいい。覚えていてくれるなら、それでいいの。
心が沈んでいくさまや、輝く世界への戸惑いや、与えられた充足感。色を失った景色とか、冷えたからだを包み込むぬくもりとか、きれぎれになった絆が結び直される瞬間を。水島くんにも覚えていてほしいと思った。
離ればなれになってしまっても、一緒に過ごした日々が、彼を支える力になってほしかった。
わたしたちは、なにもかも順調にいくことばかりじゃなくて。それでも今日ここまで、泣いてばかりじゃなかったように。
悲しくて、つらくて、寂しくて。それら全てをひっくるめても、
『あのときは最高に楽しかった』
そう笑って話せる未来に、彼も一緒にいてほしかった。
恋人になれなくたっていい。
恋しくて涙を流す時間が来たって、いいの。
あんなことがあったね。こんなことが、あったよね。
気まずさも後ろめたさもなく、打ち解ける時間だって必要ないくらい。思い出の箱をいちばんに開けてくれる人は、水島くんがいい。
水島くんが誰を想っていても、また笑い合えるふたりでいられたら、とても嬉しい。そんな未来が来てほしい。
だから……どうか。
彼の決意と覚悟が、綾ちゃんの救いになりますように。
無茶ばかりする彼が泣いていたら、そっと寄り添う友達がいますように。
彼の優しさがいつか、自分にも向けられますように。
それまでどうか彼の心が、折れませんように。
覚えていて、水島くん。
わたしはずっとここで、大好きなあなたの幸せを願ってる。