水島くん、好きな人はいますか。
「学校でも、外でも、京と必要以上に関わるなよ」
そっか……。水島くんとアドレスを交換したこと、バレちゃったのかな。
「万代」
視線を落としてすぐに呼ばれ、数秒沈黙してから頷いた。
……うんざりしてるよね。
顔は見えなくとも、戸口を開けた瞬の背中は疲れているように見えた。
そうさせてしまったのは、わたし。
わたしが約束を破らなければ、今まで通り、ちょっと口うるさい瞬でいられたよね。
だけどね、わたしも、疲れちゃったんだ。
どうすれば過不足なく、瞬と幼なじみでいられるんだろう。もう幼なじみですらいちゃいけないのかな。
そんなこと口にしたら瞬はなんて言うのかな。
でも、全員が認めてくれるわけじゃないって知ってるでしょう? だから水島くんと関わると怒るんでしょう?
その苛立ちは、わたしが面倒事を引き起こすからだよね。
ちゃんと自覚してるよ。
わたしは標的になりやすい、って。
ごめんね。気にしないって笑い飛ばせるわたしでいられたら……なんて、今さらだけど。
きっと瞬が前の彼女と別れてしまう前に、わたしは変わらなくちゃいけなかったんだ。
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