ヒトカケラ
「やっほぉ!!!」
「遅ぇよ」
私が玄関をでると暇そうに壁によりかかっている夕真が笑いながら答えた。
夕真は口は悪いけど優しくて、頼りがいがあって。
友達として大好きなんだ。
「ほら、行くぞ」
「うん!!」
夕真と私はクラスは別だけど私のクラスに夕真の噂がかなり広がっている。
噂…というか…。
「ねぇ、夕真?」
「ん?」
「昨日も女の子振ったんだって?」
「…何で知ってるんだよ」
「いやあ、アンタに関してのいろーんな情報が入ってくるんだよね」
そう。夕真はかなりモテているらしい。
まぁ、口は悪いけど性格はいいからなのかもしれないけど。
私には何が…というかあ何処がいいのかさっぱり。
「そーいやあ、遊里はさ。また付き合おうとか思わねぇの?」
「…ん。分かんない」
・・・・。
しばらく妙な沈黙が続く。
私は耐えきれず言葉を選びながら言葉を紡ぐ。
「…けど、やらないといけないかな…とは思…う」
「…そっか」
なぜ私に対しての恋愛でこんな空気になるのか。
その理由は明らかだった。