恋 愛 小 説 。
「好きです」
「いいよ」
光と付き合いはじめたあたし、意外と返事はあっさりしていて、あたしは最初「え?」とか「へ?」とかしか言っていなかった。そんなあたしに光は
「だから、紗江さんと付き合うって言ってんの」
少し困ったような、でも笑顔でそう言った。あたしは光の優しい顔と性格が好きなんだ。
「え、あ、ありがとう」
喜んでいいんだよね
てか 夢じゃないよね?
光は野球部なのに坊主じゃない。まあウチの野球部の決まりが緩いから、なのかもしれないけど、異常にかっこいい。ウチの学校じゃモテるほう。誰々と誰々が光を好きなんて噂はしょっちゅう耳にする、ただ、告られないだけ。光のことを好きな女の子に「どうして告らないの?」って聞いたら「だって光先輩はかっこいいし、彼女いそうだから」とみんな口を揃えて言う。そんな光とあたしが付き合うって…
自惚れながら2ヶ月が過ぎ、ある日の昼休みに教室であたしは光にキスをされていた。
「光、」
「ん~?」
「好きって言って?」
「恥ずかしいからやだ」
そう言う光は困りながら笑っていた
なんだろう
すごく不安になった。なんだかいつも、光の視線が他のところに行ってる。視線を辿ってみると、必ずいるのは隣のクラスの長野さん。
「…ひかる、」
「ん?」
「よそ見しないで」
そうあたしが言うと、光はあたしにキスをしてきた。光を見るとやっぱり視線はあの子。
光は優しいから、
だからきっと言えないんだ。
あの子が好きだって
光が唇を離す
「ひかる、大好き」
「うん」
「好きって言って、」
「好きだよ」
「…うん 大好き」
あたしは光を抱きしめながら思った。あたしは絶対に、光の嘘を信じ続ける。ずっと光のそばにいたい
たとえ君があの子を
好きでも
愛されていなくても、
両片想い