君と僕のエスパシオ
ベルを鳴らすとリンゴン、と何となく古めかしい音が聞こえてきた。
しかし、何分経っても家の主があらわれる気配が無い。
「あのー?誰かいらっしゃいませんかー?」
家のなかにむかって声をかけてみても、反応はなかった。
ためしにドアノブに手を掛けると、思いもよらずあっけなく開いてしまった。
―まったく、鍵もしないでこの家の人は何をしているんだろう。
泥棒にでも入られたらどうする気なの…。
いや、もしかしたらもう既に泥棒に入られた後なのでは、と良からぬ予想をしてしまい、エミリアは慌てて家に入っていった。