MAGIC (短)
凉に缶ジュースを買ってもらい近くのテーブルに腰をおろす。
「…今日は特別」
「………何が?」
「今から香奈のためだけに、香奈1人だけの前でマジックをすんね!」
……凉…
「………うん…」
期待していいのかな。
凉は少し照れている。
「このトランプ。よく見てて」
「……うん…」
「…3…2…1…」
凉の持っていたトランプは、一瞬にしてポップキャンディに変わった。
「はい、お客さん♪」
凉がポップキャンディを私に手渡す。
「……ありがとう…」
「じゃあこの枝、ハンカチに変えるね」
そう言って凉はテーブルの近くに落ちていた枝を拾った。
「…3…2…1…」
掛け声とともにハンカチに変わる枝。
そのハンカチを私に渡す。
「…………涙拭け」
……なんでかな?
泣いてる私。
きっと、今、凉が私だけに、私1人だけに向けてマジック披露してるから…
それが、
嬉しくてたまらないんだ。