ただ、飛べてしまっただけ。
ごちゃごちゃ考え込んで居ると誰かが近づいて来る音が聞こえた。
誰だ?
俺はどんな顔をすればいい?
顔を上げられない。
「ねぇ…龍ちゃん?」
頭の上から声がした。
聞き覚えのある女の子の声。
俺はいつの間にか
顔を上げ、彼女を見ていた。
「律花…」
俺がそう言うと、
彼女は俺に抱き着いてきた。
「龍ちゃん…おかえりなさい」
小さく肩を震わせながら
彼女はそう言った。
「…ただいま」