ただ、飛べてしまっただけ。
最後の贈り物
ふと見ると律花は
心配そうな顔をしていた。
「大丈夫?龍ちゃん」
律花は俺のおでこに手をあてる。
「熱なんてねーよ、バカ」
すると律花はムスッとした顔をした。
「心配してあげたのに『バカ』はないでしょ! 龍ちゃんの方が勉強出来ないくせにっ」
「うっさいチビ、俺は部屋戻って寝る」
そう言って律花の頭軽く叩く。
「なによ!自分がちょっと高いからって!あたし150cm以上あるもん」
俺はそんな律花の声を聞きながら部屋に向かう。
「いつまでも子供扱いしないでよ…」
その言葉に一瞬足が止まりかけたが、聞こえなかったふりをして歩いた。
『りっちゃんはきっと、龍兄ぃのこと…好きなんだな』
圭太の言葉が頭を過った。