ただ、飛べてしまっただけ。
――コンコン
「龍ちゃん起きてる?朝だよー」
ドア越しから律花の声がした。
「おぉ」
「朝食出来てるから来てね」
その声と同時に俺は部屋のドアを開けた。
「うわ!ビックリした…おはよ」
目を見開き驚いた顔をしている律花。
「朝から変な顔してんな」
そう言って俺は律花の頬を引っ張った。
「いはい!いはいよお!(いたい!いたいよお!)」
そして、涙目になりながら頬をさする律花。
「あ、わりぃな。元々可愛くない顔、もっと残念にさせちまったな」
「最悪ー!」
そんな律花にデコピンをかまして俺は食堂に向かった。
「龍ちゃんのバカー!!!」
律花の叫び声を背中に感じてつい吹き出しそうになる。