ただ、飛べてしまっただけ。
さよなら、俺が生きた世界
「じゃあ、あたし行って来るから待っててね」
そう言って、律花は俺に手を振る。
俺はポケットに手を入れて手紙とプレゼントが入っているかを確認した。
―――律花が戻って来たら渡そう。
そう思った時だった。
律花が道路を渡ろうと走り出した瞬間、
急に車が曲がってきた。
―…キキィ
急ブレーキの音が響く。
「律花!!」
まだ、まだ間に合う。
頼むから…
律花を連れて逝かないでくれ…
その瞬間。
デルデが見えた気がした。