ただ、飛べてしまっただけ。




死ぬか生きるかの選択肢。

当たり前だが、
こんな選択をされたのは初めてだ。



中3の頃の進路選択の時、
"これで人生が決まる"
なんて、先生に言われて
めちゃめちゃ悩んだけど。





今考えると、馬鹿らしくなる。






俺は考えた。

このままだと
俺は暗闇の中一人きり。


だからと言って、
俺は"生きたい"と思っているのか?



「どうしますか? ここに居ますか? それとも、やり残したことを果たすために生きたいですか?」



デルデは無表情で俺に問いかける。



しかし、今の言葉に
俺はまた疑問が生まれた。




「やり残したこと? 俺にはやり残したことがあるのか?」



すると、デルデは表情を一切変えずに俺の問に答える。


「はい、あなたにはやり残したことがあります。 私の口からは言えませんが、生きれば果たすことは可能」


そして、デルデは話を続けた。


「それから、もしあなたが"無"に居ることを選択した場合、新たな命を手にすることはありません」


「どういう意味だ?」


デルデは手に持っている紙に目を移し、話を続ける。


「死んだ者に新しい命を与えられることがあります。要するに"生まれ変わる"と言うことです。そして、生まれ変わることは天国に居る者しか出来ません」









< 8 / 77 >

この作品をシェア

pagetop