チューして☆ダーリン
「いや、自分で押す」
「…そうですか。」
“はい”
ボタンを押す。
あっさりとケータイから消えた名前。
「先生…僕のこと嫌いになりました?」
「…なんでだ?嫌いになんかならないよ。なにがあっても俺の生徒だ。」
「……夜野海は生徒として見ていなかったのに?」
「………」
憎しみの隠った瞳。
「すみません…。言い過ぎたみたいですね」
「いや………」
「先生は大人です。だからもうわかってますよね?」
「ああ」
「それでは、失礼します」
パタンと閉じた屋上のドア。
その瞬間、浮かんだのは愛する人の泣き顔だった。