【短編】恋は魔物!?
マンションの前に座ってた人が顔をあげ、目が合った。
「美桜!?」
驚き大きな声で名前を呼んだ俺を睨み、走り出してしまった。
《え? 哲君!? 私、ミオじゃないけどー!?》
あぁ、電話中だったんだ!
「悪い! その話なしで!」
そう言って美桜を追いかけながら、電話を切った。
「ちょっ、ちょっと待てって!」
そのまま、走った美桜を追いかけるも、凄いダッシュをみせる。
お前……足速すぎだっつーの。
やっと掴んだ腕。
ハァハァ、と息を切らす美桜の腕を掴んだまま、
「何してんの?」
そう尋ねた。
俯いたまま、何も言わず呼吸を整えるだけの美桜。
「危ないっしょ? こんな時間に外いたら」
そう続けても何も話さない。
不思議に思った俺は、美桜の顔を覗き込むと、何故か避けるようにして違う方を向かれた。
何なんだ、一体?
全く意味わかんねー。