【短編】恋は魔物!?



俺はそのままの体勢で固まってしまった。



「……泣いてる?」



今、美桜の頬が濡れてるのが見えた。


何で?

どうして?



――泣いてるの?



「泣いてへんもんっ」



そんな返事が返ってきて、俺は掴んだ腕を引っ張った。

顔を上げた瞬間、真っ赤な目に、真っ赤な鼻。



「…っや!」



顔を背けたけど、見たよ?

目には、いっぱい涙を溜めてて。


なぁ、どうしたんだよ?


俺、馬鹿だから期待しちゃうんだけど。

もしかして俺の事、まだ好きなのか? とかさ。

だけど、美桜の事だから有り得ない可能性の方が高い。


俺と別れて新しい男が出来たけど喧嘩したとか。

もしくは、別れたとか。

って、そんな事を聞いたら確実に俺凹むだろうなぁ。

でも、このまま泣かせておくわけにはいかねーし。



はっあぁぁぁぁぁ~~~。



やっぱーり惚れた弱味だよなぁ、これって。

美桜のせいで再確認。



俺、やっぱこの人、好きみたいです。



< 20 / 46 >

この作品をシェア

pagetop