【短編】恋は魔物!?
俺はそのままの体勢で固まってしまった。
「……泣いてる?」
今、美桜の頬が濡れてるのが見えた。
何で?
どうして?
――泣いてるの?
「泣いてへんもんっ」
そんな返事が返ってきて、俺は掴んだ腕を引っ張った。
顔を上げた瞬間、真っ赤な目に、真っ赤な鼻。
「…っや!」
顔を背けたけど、見たよ?
目には、いっぱい涙を溜めてて。
なぁ、どうしたんだよ?
俺、馬鹿だから期待しちゃうんだけど。
もしかして俺の事、まだ好きなのか? とかさ。
だけど、美桜の事だから有り得ない可能性の方が高い。
俺と別れて新しい男が出来たけど喧嘩したとか。
もしくは、別れたとか。
って、そんな事を聞いたら確実に俺凹むだろうなぁ。
でも、このまま泣かせておくわけにはいかねーし。
はっあぁぁぁぁぁ~~~。
やっぱーり惚れた弱味だよなぁ、これって。
美桜のせいで再確認。
俺、やっぱこの人、好きみたいです。