【短編】恋は魔物!?
「そっか、なら取りに行くか」
小さく溜息をつき、抱きしめた手を緩めた。
はいはい、もう期待なんてしませんよー。
なのに、俺に抱きついた美桜。
え?
え?
えぇ!?
何だこの状況。
俺が抱きしめられてるんすけど???
いや、俺。
まだ期待するな!
ここで期待したら、また凹むぞ!?
相手は美桜なんだからっ!
そうそう、落ち着いて。
「美桜?」
なるべく平常心を保つ努力をする。
なにも答えないから、俺の胸は高鳴る一方だ。
ドキドキドキドキドキ……
「何ドキドキしてんよ?」
「べっ、別にドキドキしてねーしっ!」
とか言いながらも、言い当てられ余計に速くなる心臓。
外身をいくら落ち着かせても、普通に見せれても。
中身、心臓の速さとかは誤魔化しがきかない。
「てか、離れろよ」
「嫌や」
へ?
美桜の肩を押そうとした手が止まった。
嫌や?
嫌やって嫌って事か?
俺から離れるのが嫌って事か?