真っ白な恋(BL)
「なぁ秋人…、今日デートしたい…。 昨日、できなかったからいいだろー…?」

昨日風邪をこじらせたばかりだというのに一日で元気いっぱいのヒナ。
小さいからだのわりに以外と丈夫なようだ。


「あぁ、昨日なぁ…俺もショックで寝込んどったわ。ヒナたんに会えなくて寂しかった。」


ヒナのことなど微塵も頭になかったというのにまた嘘がでてしまう。
これもこの子を傷つけないため、と自分を正当化して。


「ふふ、そうかそうか。じゃあ今日は…「せやけど、アカン。」


俺の答えを聞き、満足気な笑みを浮かべるヒナの顔が少しだけ引き攣ってしまった。


「あ…、いや。もちろん気持ちは嬉しいんやで…? せやけどまだ一日やし風邪が再発してこんな風にお昼食べられんくなってもうたら俺、嫌やもん。 やからヒナたんは少しの間、絶対安静や!」


なんとか取り成そうと頭をフル回転させとっさに言い訳を繕った。

不自然さはなくヒナの表情もすぐに戻り安堵する。





「ほなヒナ!お腹出して寝るんやないでぇ!」


放課後、送り届けたマンションの一室へと愛を叫ぶ。

その後一人になった俺は足早に自分のアパートを目指した。


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